iyasiike
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「酢豚」という料理のポイント、私は「なましい野菜」だと思っている。「なましい」というのは関西弁かもしれないが、「生」ではなく、しかし「生の食感が残っている」ぎりぎりの状態を言う。

神戸の「やきそば(そばやき)」も「なましい」麺が売りのものがある。これは、最近のラーメンの「バリカタ」などとも少し違う。生、生煮えではなく、火が通っているのだが、生の良さが残っているという感じだ。
 

さて、酢豚である。ピーマン、玉ねぎ、にんじんなどの野菜は大きめに角切りして、ジャーレンで油通しをする。そして揚げた豚肉と鍋で加熱し、甘酢をかけまわすのだ。


単純な料理だが、一つ一つの作業の時間とタイミングが難しいのだ。

特に、最後の鍋で合わせて炒める時間が大事だ。


炒める時間が長すぎると、野菜は水分をまとって重たくなるし、豚肉の衣も重たくなる。甘酢だって香りが飛んでしまう。


強火で、一瞬の間に混ぜ合わせて、皿に移さないといけないのだ。運動神経が必要な料理でもある。

家でおいしい酢豚が出来ないのは、ジャーレンが使えないことも多いが、それ以上に食材を一瞬で火通しできるような強火がないからだろう。


そういう風に完璧に調理すると、どうなるか?

こうなります。
 

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一芳亭船場店 大阪市中央区船場中央船場センタービル2号館 B2F
 

野菜類はぱりっ、しゃきっとしているが、火は通っている。筍のエッジが立っている。豚肉は、口の中でほろっと崩れる。味がしっかりついているのは、豚に下味を施しているからだ。甘酢も軽いが、しっかりと味がついている。


この店は、焼売の老舗として知られているが、中華料理をきっちりと作っているのだ。昼の定食がメインのごく普通の店だが、昔から同じ姿勢で料理を作っている。もう20年くらい、折に触れてここでランチを食べているが、いつも感心する。

定食についてくるスープが良い。透明感のある軽いスープだが、昔懐かしいチキンの味がする。

 

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定評がある焼売も良いが、私は料理の姿勢そのものを評価したいと思う。

 

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八方菜や肝の旨煮も良いのだが、私には酢豚の店である。

 

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