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正岡容『寄席囃子』




桂米朝、小沢昭一、加藤武、大西信行(「肝っ玉母さん」の放送作家)、金原亭馬の助、永井啓夫(元日大教授 『三遊亭圓朝』著者)、小島貞二(演芸、相撲評論家)、都築道夫(作家)。どこまでご存知かわからないが、この人たちには、共通項がある。ある作家の門弟だったのだ。その名は正岡容(いるる1904-1959)。

小説家として十代のころから際立った才能を見せて、芥川龍之介に認められる。しかし、酒乱と言われる酒飲みで、その上女性遍歴が激しく、破滅型の性格だったために、次第に文壇から疎んじられる。

寄席芸人の世界にどっぷりと浸かり、芸人よりもさらに退廃的な生活を送ったが、ほんの少しだが珠玉のような作品を書いた。
 

また、たくさんの弟子を取ったことでも知られる。桂米朝は、大東文化大に在学中に入門。米朝は出征し、復員後関西に戻るが、正岡の指示で四代目桂米団治に入門し、噺家となった。同時期に、人気噺家で早世した金原亭馬の助も門下にいた。
 

その後に正岡のもとを訪れたのが小沢昭一、加藤武、大西信行、永井啓夫という麻布中学の同級生たち。正岡容に文芸を習った。
 

さらに、大相撲の力士を廃業した小島貞二(息子は「およげたいやきくん」プロデューサーの小島豊美)、推理作家の都築道夫(弟子に漫画家高信太郎)なども門弟だった。
 

不思議な魅力があった人だと思う。私は二十歳ころからこの作家の作品に親しんできたが、十代の頃の作品を読んで、あまりにも凄すぎて、いやになった記憶がある。天才とはこういう人のことを言うのだろう。

当時としては大枚をはたいて『正岡容集覧』を買った。今や宝物だ。

最後は窮迫して死んだが、この作家は最近見直されつつあるようだ。アマゾンではたくさん紹介されているし、随筆集も出ている。

これなど、手ごろではないだろうか。

 

正岡容『寄席囃子』



明治末年から、終戦後の寄席の風情や芸人たちが生活した場の空気が立ちあがってくる。こういう作家が見直されているのは良いことだと思う。

 

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