文章の見た目について、しばらく考えてきた。続いて構成について考えたい。
私は人と話をするのが仕事の一部となっている。多くの人と話をしてきたが、大体二つのパターンがあることに気が付いた。
何かを訪ねた時に、答えを先に言って、それからその理由を話す人と、理由や経緯から入って最後に結論を言う人の二つのパターンだ。
ビジネスマン、忙しそうな人、そしてせっかちな人は、結論から先に言うことが多い。時間がないということもあろうが、それ以上に単刀直入に答えることで、論点をはっきりさせたいと考えている人だ。
結論を後回しにしてしゃべり始めるのは、圧倒的に女性が多い。そして、おしゃべりが好きな人が多い。話に酔うタイプも多いように思う。
文章にも、結論から先に言って後から理由を述べる構成と、時系列的に書いて最後に結論を述べる構成の二つがある。
それこそ結論から先に言うが、ほぼ9:1の割合で、結論から先に書く文章の方が成功する。人は読んでくれる。
なぜなら、何度も言うように、人は「他人の文章を読むのが大嫌い」だからだ。先に結論を知ることができれば、極端に言えばあとは読まなくともよい。以下の文章には、結論より大事なことは書いていないのだから。
書き手にとっては不満が残るかもしれないが、このシリーズの最初の方でのべたように、文章を書く目的を「達意(意志、気持ちなどが相手に達する)」だとすれば、結論を知ってもらうことで、とりあえずその文章は成功したと言えるのだ。もちろん、その結論が面白ければ、人はその先も読んでくれる可能性は高まる。
お話し好きの人、いろいろ説明したい人、そして面白い結論(落ち)を思いついた人は、それをできるだけ引っ張って、最後の最後に明かしたいと思う。それは人情なのだが、大抵失敗する。
長々と事情説明をするときに、最後まで読んでもらえるような、水みたいな文章が書ける人は、それほど多くない。それに加えて、あなたがすごく面白い結論(落ち)だと思っていることは、大抵大したことはない。
それよりも、いちばんいい情報は先に出す、ということを習慣づけた方が文章は良くなる。
結論から先に言う文章というのは、構造的に新聞の記事と同じである。新聞も大見出しで結論を言い、詳細を本文で伝えている。
新聞記事は構造的に、結論を前に出さないと成り立たないようにできている。プロ野球なら「巨人、阪神を零封」みたいな見出しが先に来る。間違っても「6時に試合は始まった」という見出しが出ることはない。
新聞は、暇な人なら隅々まで読むが、忙しい人は見出ししか読まない。それでも最低限の情報は伝わるようにできている。
文章を書くときは、新聞記事を書くことをイメージして書けばよいのだ。
新聞の見出しだと思えば、頭に置く結論も、短く、わかりやすくなるはずだ。
私のサイトにお越しいただき、ありがとうございます。ぜひ、コメントもお寄せください! ↓
もちろん、優れた読み手は自分の意に反する結論であっても、論理展開に納得がいけば一定の評価をくれるし、場合によっては考えを変えてくれるかも知れない。
でも最初の結論でカチンときて、感情的になってしまう人も大勢いますから、そういう人は後まで読まずにページを閉じた方がいい。それがお互いのためになる。
そうやって感情に生まれたしこりを、なんとか論理的に記そうとすると、人格まで含めた相手のあらゆる部分を否定するような、陰湿で攻撃的なコメントが生まれたりする。これが炎上のひとつのパターンですね。
そもそも反発の根底にあるのは感情なのに、それを論理で説明しようとするからおかしな事になる。突き詰めると「俺はお前の意見が許せない!」という事でしかないのに。
僕は学生のころに運良くディベートの授業があったおかげで、反対意見にも冷静に対処できる方ですが、その授業で分かったのは、われわれ日本人は実にディベートが下手だということ。
よく海外から「裏表がある」などと言われる日本人ですが、実はかなり直情的かつ素直な気質の人が多い。江戸っ子の喧嘩っ早いところは、確実に現代にも受け継がれている。普段はそこに理性のマスクを被っていますが、怒ったり酒に酔ったりすると、それが容易に外れるわけです。