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これまで、「水のような文章」「見た目」「構成」と文章について考えてきた。

ここからは、もう少し細部について考えたい。

英語など他の言語では、主語は常に明確に提示される。短い文章に何度も「I」「You」という主語が出てくるとしても、それを省略することはない。

しかし、日本語では主語は頻繁に省略される。

 

I like baseball. I go to often see baseball at a rest. Moreover, I also love playing baseball. I go into the baseball club in the office. I am the ace and am No. 4.

 

この英文を直訳すると以下のようになる。

 

私は野球が好きだ。私は休みにはよく野球を見に行く。また、私は野球をするのも大好きだ。私は職場で野球部に入っている。私はエースで4番だ。

 

英文では、全く問題のない文章も、日本語に直訳すると「私」がやたらと出てくる読みにくい文章になる。

 

こういう場合、日本語では最初の「私」だけを残してあとは省略する。

 

私は野球が好きだ。休みにはよく野球を見に行く。また、野球をするのも大好きだ。職場で野球部に入っている。エースで4番だ。

 

散文調ではあるが、はるかに読みやすくなる。

日本語では、文章の主語は省略することが多い。省略しない文章は、しつこくて、頭が悪そうな印象になる。

繰り返して同じ言葉を使うと、頭が悪そうに見える。これは、主語だけに限らない。目的語や動詞なども同様だ。

 

私は東京へ行った。東京で食事をした。東京で服も買った。そして東京で宿泊した。

 

私は要らない本を捨てた。古新聞も捨てた。もう着なくなった服も捨てた。

 

こういう文章は重複する言葉を省略するとともに、「置き換え」をするか「まとめ」をすると、読みやすく頭がよさそうな文章になる。

 

私は東京のへ行った。そこで食事をした。服も買った。そしてこの町で宿泊した。

 

私は要らない本も、古新聞も、もう着なくなった服も捨てた。

 

自分で書いた文章をチェックして、よりよいものに「推敲」するときに最初にチェックすべきことは、「同じ言葉を何度も使っていないか」ということだ。

 

使っている部分が見つかり、わかりにくいな、と思ったときは「置き換え」「まとめ」の手法を使おう。

ただし「まとめ」は単純に同じような事象を繰り返しているときに使う。

以下のようなケースでは使えない。

 

私は要らない本を捨てた。古新聞も捨てた。部屋の中をきれいにしたいから捨てた。

私は要らない本も古新聞も、部屋の中をきれいにしたいから捨てた。

 

同じ「捨てた」で終わる文章であっても、次元の異なる文章を一緒にまとめると、かえって意味が通りにくい文章になる。

この場合は二文に分ける。

 

私は要らない本も古新聞も捨てた。部屋の中をきれいにしたいから捨てた。

 

「置き換え」は、一見簡単そうなテクニックだが、これを駆使すると文章力は飛躍的に高まる。

 

私の弟は、野球よりもサッカーが大好きだ。私の弟は小さいときからサッカークラブに入っていた。私の弟は足が速くて敏捷だった。私の弟は誰もがサッカー選手になるだろうと思っていた。

 

この場合、私の弟を「彼」「この子」と二種類に置き換えることで、文章のレベルが上がる。

 

私の弟は、野球よりもサッカーが好きだ。小さいときからサッカークラブに入っていた。彼は足が速くて敏捷だった。「この子はサッカー選手になるだろう」と誰もが思っていた。

 

作家やライターは、たくさんの質の良い「置き換えの言葉」を持っている。

「置き換えの言葉」は、文章力の重要な要素なのだ。

 



次回も同じテーマでより深めていきたい。
 

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