hibikore


IMF(国際通貨基金)というのは、世界の通貨の在り方を決める機関だ。その総会は複雑に動く現代社会(「探偵ナイトスクープ」ではありません)の経済状況を大きく左右する。特にユーロ危機を契機として世界経済が減速する中で、通貨、金融をどのように動かしていくかは、非常に重要な課題だったはずだ。

しかし中国は閣僚や主要銀行の頭取などを参加させなかった。主たる目的は「言うことを聞かない」日本に、「恥をかかせるため」だ。

村の寄合で隣の男に恥をかかされた実力者が、その男が勧進元をする「村祭」に突如欠席した、みたいな泥臭い話である。

中国は「これで日本も恐れ入ったことだろう」と思っているかもしれないが、国際通貨のルールを決めるために集まっていた世界のお歴々は、中国のガラの悪さ、品性の下劣さにあきれ果てたはずだ。今は成金ぶりを発揮してはいるが、「この国が羽振りが良い時代は長く続かないな」と思ったはずだ。

国際社会というのは、複雑なものだ。政治的に対立していても、経済や文化面では太くつながっている場合もある。仲が良さそうに見えても、テーブルの下で足を蹴り合っていることもある。しかし、それが普通のことなのだ。

国家は「人間」よりもはるかに複雑だ。一色に染めることはできない。だから良い部分もあるのだ。手を握りながら足を蹴り合い、罵りながら一つ釜の飯を食う。だからリスクヘッジもできるし、戦争も回避できるのだ。

中国は「尖閣」という領土問題を契機として、日本をすべてボイコットしようとしている。隣国であり、経済的な結びつきも深いにもかかわらず、そのすべてを断ち切ろうとしている。それが、日本だけでなく中国にも深刻な影響を与えるにも拘わらず、本気でそうしようとしている。


中国は「独裁体制」で無理やり経済成長を続けてきた。富の配分も不公平なままで、汚職や不正まみれのままで、ただ「金持ちになる」ことだけを目的に、ひたすら走り続けてきた。国際的な商習慣も、マナーも身に付けないままに「成金」となった。

しかし国内は矛盾だらけである。共産党のお粗末な政治に対する不満が渦巻いている。それを力で抑え込んではいるが、何しろ13億という人口だ。抑えきれるものではない。そこで、「日本」という「仮想敵」を作って、民度の低い人々を黙らそうとした。

一度振り上げたこぶしを振り上げるわけにはいかないから、「日本たたき」はどんどんエスカレートする。中国の日本ボイコットは、人民に向けたパフォーマンスだ。

そして同時に、中国政府は、こういう形でプレッシャーを与えれば、本当に日本を屈服させることができると考えている節もある。これまでネパールなどの隣国や少数民族に対して強圧的に出ていたのと同様、日本に対しても強く出れば勝てると考えているようだ。

中国は外国と国内の見境がついていないように思う。

日本は、今まで同様粛々中国との国際交流を行うべきだ。主張すべき部分は主張する必要はあるが、間違っても日本国内で中国人の排斥などを行ってはいけない。

今、日本で開かれている国際見本市にやってきた中国企業には、「日本人に壊されるかもしれないから、商品を持ってこなかった」ところもあったそうだが、日本と中国を同じレベルだと思われては困る。多少苦しくとも、ここを耐え忍ぶことで、国際的な信用は上がるだろう。

情けないことに、経団連の米倉弘昌会長は、「経済のことを考えれば、中国に頭を下げるべきだ」と言い始めている。「史上最低の財界総理」と言われるだけのことはある。米倉氏の様な人が財界トップにいるのは、日本人の劣化の一端だと思う。

日本は、中国がしていることを冷静に見つめて、その行状を国際社会にそのまま伝えればよい。

 

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