コンビニやファミレスなどの冷蔵庫や厨房などに横たわったり、食材の上に足を乗せたりする映像をtwitterなどに公開する若者が多いようだ。

それが炎上を呼んで、店舗がフランチャイズの契約を解除されたり、店舗自体が閉店に追い込まれたりしている。

日本と言う国は、恐らく世界一衛生観念が厳しい国だから、こういうことをされれば、店の信用に傷がつく。フランチャイザーにも深刻な影響が出る。

こうした対応は、される側に立ってみれば厳しいことではあるが、日本の衛生管理、顧客サービスのレベルを維持するためには、仕方がないとも思う。

店舗側は、従業員を解雇し、損害賠償を考えているという。

 

意外なことに、ネット上では、こうした若者の行為を擁護したり、店舗の対応を非難したりするコメントも結構多い。

 

ある経営者はこう言った。

「悪ガキのおふざけにお灸を据えるのに、彼の人生を台無しにさせることで世間に責任を果たしたつもりのクソ経営者。そして他人の不幸を見て悦に入りながら、社会正義を執行した気分にひたる賛同者」

 

茂木健一郎氏もこの意見に「同感」とし、

「低賃金で働いているバイトの不始末で、店舗閉鎖とか、フランチャイズ取消とかする『経営判断』の方がお粗末なのであって、それで損害賠償請求とか、明らかに常軌を逸している。バランス感覚、なさ過ぎだよ。それを拍手喝采する『世間』は、程度低すぎ」

 

tweetしたという。
 



バランスがおかしいとしか思えない。

やった本人は「おふざけ」かもしれないが、世間の非難は洒落にならないレベルになっている。企業にとっては、「テロ」にあったのと大差ない甚大なリスクを抱え込むわけだ。これに対してドラスティックな対応をするのは当然のことだ。

幸か不幸か、衛生観念に関して、日本はそういう社会になっているのだ。

 

「低賃金」はこの際関係ないだろう。「彼の人生を台無しにする」というが、一人の馬鹿者の愚行で、店舗をたたまざるを得ない店主や、一緒に解雇される従業員の立場に立てば、彼に厳罰を求める気持ちは理解できる。

馬鹿をやった従業員に損害賠償を請求するようになれば、この手の愚行は減るのではないか。抑止力として有効だと思う。

 

彼らがそういう行為に出る背景に思い至れという意見もあるようだが、それは順番が違う。まず、この行為が「いけないこと」であることを、世間がしっかり押さえることが必要だ。

 

そもそも、私はこういうことをする連中の「笑い」の感覚のズレ、鈍さが気になって仕方がない。

こういう画像を撮って公開することで「受ける」「笑いがとれる」と思っているようだが、同類の受けは狙えても、多くの人には全く受けていないことを認識すべきだ。

そういうことをしても「面白くない」ことが分からないとダメだと思う。

 

世の中には「馬鹿をやって受ける」という種類の笑いがある。うまくいけば飛距離のある笑いが取れる。

「馬鹿」が受けるポイントは「自己犠牲」である。身を削って、リスクを顧みず馬鹿なことをやる。その熱意が笑いを呼ぶのである。

本当の「馬鹿」に対する報酬は、「馬鹿だなぁ」と言う同情と共感と称賛が入り混じった反応だ。

 

冷蔵庫の食品の上に寝そべるのは確かに馬鹿ではあるが、彼らは何のリスクも負っていないし、自己犠牲もしていない。

他人の資産を文字通り土足で踏みにじっているだけである。

それを面白いと思うのは、同じレベルの分別が付いていない愚かな人々だけである。

普通の人からすれば、それは「笑えない」。痛みさえ感じるはずだ。

それは動画で子供をいじめている画像を垂れ流す行為と何ら変わりがない。

 

テレビのバラエティでは、単に派手派手しいだけで、一つも面白くないことでも、笑い声をつけて放映することが多い。そういうものに慣れている人は、何か極端なこと、乱暴なことをすれば、笑いが取れると勘違いしているように思う。

しかし、「笑い」はそんなにたやすいことではない。

 

冷蔵庫に寝そべるような行為は「面白くない」し、「洒落にならない」。そして、格好が悪すぎる。

この手の写真が「面白い」と感じるのなら、あなたも自分の「笑い」のレベルを疑ってみるべきだと思う。


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