かつて、ここまで凶相の政治家はいたか、と思う。
弁護士タレントだった橋下徹は、2008年に大阪府知事に当選、2010年に松井一郎など旧自民党の府議とともに地域政党大阪維新の会を結成。
2011年の大阪府議選に大勝。また松井一郎が府知事、橋下徹が市長に当選し、大阪府の政権を奪取する。
2012年には、国政に打って出て「日本維新の会」を結成。この党が台風の目になるとみるや、自民党、民主党、みんなの党の国会議員が合流、さらに保守色の強い日本創新党、太陽の党も解党して合流した。
彼らは維新の党、橋下徹の「勢い」に期待をした。自民、民主に代わる「第三極」を作るに違いないと思って参加した。
イデオロギー的にはむちゃくちゃである。野党である民主党から自民党、さらには極右の太陽の党まで。
さすがに太陽の党は維新とは違いすぎると思われ、橋下も躊躇していたが、石原慎太郎に押し倒された感もあって所帯を持った。
橋下はこのときに、下野していた自民党の安倍晋三に色目を使った。党首にいただこうとした。しかし安倍に固辞されている。

維新の会はこの年12月の総選挙で54議席を獲得したが、期待したほどではなかった。民主党の失政に懲りた有権者は、自民党の復権に期待をかけたのだ。

日本維新の会は、石原慎太郎と橋下徹という似て非なる二人のポピュリスト政治家が共同代表となる。

総選挙後、自民党総裁に返り咲いた安倍晋三は、首班に指名され第二次安倍内閣を組閣する。そして強引な円安誘導を基軸とする「アベノミクス」で、ミニバブルを現出させ、拝金主義の国民の支持を一気に得たのである。

ポピュリスト安倍政権が誕生したことで、同じ系統の政治家である橋下徹の「日本維新の会」は影が薄くなる。
橋下徹、松井一郎は大阪にとどまることに固執し、国政は東京の議員にゆだねたが、彼らは大阪の意向を聞かずに行動をし始めた。
2014年、みんなの党の分派である結いの党の受け入れを巡って石原と橋下が対立し、旧太陽の党は“離婚”する。

結いの党を受け入れた日本維新の会は、維新の党と名前を改める。

2014年7月の総選挙では橋下徹は早々と敗北を宣言。党勢は伸びず。
この時期には、大阪以外のエリアでは選挙にも強くないことが明らかになる。

2015年に入り、足元の大阪府、市でも足場が弱くなることに危惧を抱いた橋下徹は、「大阪都構想」の住民投票という大勝負に打って出た。これが通れば、世間はまた注目してくれる。勢いに乗れるという考えによるものだ。
しかし住民投票は僅差で敗北。
率直に言って「大阪都構想」は住民にとってはどうでもよい話だった。どちらにせよ「景気を良くしてくれる政治家」に政権をゆだねたいのであって、言葉の遊びのような「大阪都構想」は争点ではなかった。
橋下徹は「賞味期限切れ」で敗北したのだ。

橋下は政界からの引退を表明。7年間、大阪都日本をかき回すだけかき回して、放り出すことを表明した。

これで一代の梟雄は一巻の終わりかと思えたが、6月になって情勢が変わった。

安倍政権が「安保法案」を通過させる段になって、さまざまなスキャンダルが噴出、国民の支持率は急降下した。野党が対立色を深める中、安倍晋三は橋下徹をてなずけ、維新を政権側に引き寄せることを画策したのだ。

安倍政権でキャスティングボートを握る可能性が出てきたことで、橋下はまたやる気を出した。橋下は、「安保法案通過」から「憲法改正」までを推進する、自民党の別動隊として維新の党を再生することを考えた。
しかし維新の党には旧民主党系の議員も数多い。党首の松野頼久もその一人だ。彼らはその出自からしても、そんなことはとてもできない。むしろ民主党を書くとする大同団結になびきはじめた。
再び党内抗争が激しくなる。
この話が出た時点で党を離れていた橋下徹と松井一郎は、自分の息のかかった政治家だけで「おおさか維新の会」を結成、橋下は党首に収まり、維新の党の解散を勝手に宣言し、政党助成金の国庫返納を打ち出した。
そして大阪府知事選、市長選でふたたび戦うことを宣言した。

この目まぐるしさ、節操のなさ。あさましさ。
橋下は政界引退という前言を翻して、今、自らが作った党を混乱に陥れながら、政権中枢へにじり寄ろうとしているのである。

要するに橋下徹の頭の中にあるのは「天下を取る」一事なのである。天下を取って、安倍晋三のように好きなことをやりたい。ちんぴらの妄想も同然である。
そのためには、なんだってする。数が必要であれば、どんな考え方の政治家であれ、束ねて数を作る。票がほしければ、あざとい争点を作って票を取る。そして用済みになれば弊履を捨てるように捨てる。

周りに集まってきているのも「議員バッジをつけてお給金をいただく」ことが一番重要という股座膏薬みたいな政治家が多い。これもあさましい。

橋下が擁立する候補の中には「在特会」系の人間もいることが明らかになっている。安倍晋三と同様、ネトウヨや差別主義者をも取り込んで、新たな政治勢力を作ろうとしている。

日本の政治はここまで劣化したかと思う。

私は9年前から大阪府民ではないので、いかんともしがたいが、有権者は阪神タイガースを応援するような気楽さで橋下徹を支援してはいけないと思う。
この政治家は、少なくとも民主主義の敵である。そして、平気で人を裏切る。こういう政治家を中央に送り込むのは、大阪の恥である。

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