最近野球のブログのほうにいただいたコメントに、「あなたはマスゾエみたいに悪い奴だ」というのがあった。そのコメントは、相当レベルが低かったが、世間にはそういうことになっているのだろう。


よくもあとからあとからというくらい出てくる舛添スキャンダル。
このスキャンダルの特徴は、どんどん金額が小さくなるということだ。
最初に報じられたのは、舛添知事の海外出張が、「大名旅行」であること。
一回当たり数千万円、年間数億もの金をかけて、海外に出かけているという話だ。

その次に出てきたのは、湯河原の別荘に、公用車を使って通っているということ。

さらに、美術品を公費で購入したり、温泉旅行を公費で落としたり、食事代の領収書も公費にしたりしている。
回転寿司の費用まで公費で落としていたという。

いやはや公私混同も極まれりという感じだが、この話、かなりおかしいと思う。

政治資金規正法が「ザル法」と言われるくらい規制が緩く、抜け道があるのは、ありていに言えば、政治家が国民の税金を好きなように使うためである。公私混同をするためだといってもよい。
昔の政治家はいろんな政策を進めるために、政敵や野党を丸め込むために「表立って言えない金」を使うこともあった。そのために税金や公金を使うこともあった。
政治家には、そういう「曰く言い難い」金を使う必要があったとされたのだ。

40年ほど前、総理大臣として初めて逮捕された田中角栄は、与野党問わず彼に相談を持ち掛けた政治家に対して、話が終わると分厚い封筒をぽんと投げてよこして「あっても邪魔にはならんものだから、使っとけ」と言ったという。
封筒の中身はもちろん現ナマ、100万とか200万とかいう単位である。
この金は、田中角栄が額に汗して得た金ではない。利権を取り持ったり、交付金や補助金を還流させたりして得た、莫大な「裏金」である。おそらくは、間接的な税金である。
田中角栄の辞書には「公私混同」という言葉はなかったはずだ。田中に限らず、政治家とはそういうものだった。

世間では田中角栄は、公私混同があまりにひどかったために逮捕されたといわれている。このときもセンテンス・スプリングが動いた。立花隆が田中金脈を暴いた。さらにロッキード事件での国際的な贈収賄事件が明るみに出て、田中角栄は「塀の中」に落ちたといわれているが、実際には、田中はアメリカの逆鱗に触れたのだともいう。
アメリカのポチだった日本は、アメリカの承認なしに勝手に外交をしてはならなかった。しかし角栄は、勝手に中国と国交を樹立し、ビジネスを始めた。このことが逆鱗に触れたのだという。
アメリカ政府は、ロッキード事件で噴出したスキャンダルに圧力をかけなかった。政治家の名前が噴出することを規制しなかった。その不作為のために田中角栄は、逮捕され、天下の極悪人になったのだ、ということだ。

hongannji
写真に意味はありません。

今回の舛添要一の話も、そのちっちゃいバージョンなのではないか。
舛添要一は、前都知事猪瀬直樹の徳洲会からの資金供与スキャンダルの間隙を突く形で東京都知事になった。自民、公明もこれを支持した。それしか方策がなかったからだ。
しかし、自民党に後足で砂をかけて出て行った舛添は、自民にとっては好ましからざる人物だ。いつかこれを追い落とすことを考えていたのではないか。すくなくとも東京五輪の時に、この男が都知事として大きな顔をするのは、何としても阻止したいと思ったのではないか。

週刊文春が、スキャンダルを暴くのは仕方がないことだ。日本の「言論の自由」はこうした週刊誌によってかろうじて保たれている。
しかし「政治家」「スポンサー」「ネット民」の顔色を窺って、しょんべんみたいな報道しかしない全国紙やテレビが、文春を追随し、これでもかとばかりに舛添ネタを報道しているのは、本来政治家に張られるはずの「バリア」のスイッチが切られていたからではないか。
誰もはっきり言わないが、政権側の「舛添叩いてよし」というサインを感知して、テレビやラジオは叩いているのではないか。

もうそろそろ「舛添叩き」という「レクリエーション」は終わりにすべきだ。これ以上やっても意味がない。建設的なことは何もない。

断言してもいいが、公費で回転ずしを食うくらい、日本の政治家の90%以上がやっている。温泉にも行っているし、お姉ちゃんと遊んでもいるはずだ。

舛添要一は、嫌な奴だとは思うが、彼が叩かれているのは、特別に臭いからではなく、政権側がこの男をイジェクトしたいからなのだ。
「お前ごとき一般庶民上りが、公私混同をするのは百年早いわ」と言いたいからだと思う。
角栄も、舛添も、親の代は一般庶民だった。そのことも忘れてはならないだろう。
これに目を奪われてはならないと思う。


本屋さんに並んでいます。ぜひお求めを。