大阪府教育庁の調査官が、契約書、領収書の原本の提示を求めたのに対し、元安倍晋三記念小学校の経営者、籠池泰典は「持参していない」と言ったという。傍らの妻が「マスコミに情報を流しているのはお前だろう」と言って携帯電話で写真を撮り始めたので、調査官は数分で退出したという。

その後、マスメディアの前で籠池は
「原本が必要とは聞いていなかった。当方に誤りはない」と話した。動揺した様子はなく、いつもの通り、堂々とした態度だった。大したたまだと思うが、狂気も感じる。

この人物は、右翼的な教養がそれほど深いわけではない。子供たちに「安保法制国会通過よかったです」など誠に稚拙な言葉を覚え込ませていたことでもそれがわかる。国粋的な美学とは無縁だったようだ。多くの極右やネトウヨと同じく、付け焼刃の右翼だと思われる。

しかし戦前の日本帝国主義への回帰を強く望んでいたのは間違いない。排他的で、独善的な自国第一主義を絶対的に正しいと信じ、それに反対するものはすべて悪だという二分法が行動規範だった。

自分の信じる道を実現するためには、手段を選ばない。どんな手を使うことも許される。
極右にせよ、極左にせよ、「極」と名の付く信条の持ち主は、みんな同じである。「自分が正しい」「悪いのはすべて他者」。まともではない。狂人に近い。こういう人間が大きな力を持つことは、普通はあり得ない。

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しかしこの狂人が、行政や政府から特別扱いをされ、異例の厚遇で小学校を設立しようとしたのだ。
それができたのは、彼を熱烈に支援し、持ち上げた連中がいたのだ。

それは安倍晋三以外、考えられない。
籠池は、小学校の名前を「安倍晋三記念」にするとし、安倍晋三夫人を名誉校長に担ぎ上げた。異例の厚遇を受けなければ、そんなことをするはずがない。
ときの総理が強力に後押ししたから、司司はその意向を忖度し、ルールや規範を壊してまで厚遇を与えようとした。
要するに政治、官僚の腐敗が、この狂人をすんでのところで「偉大な教育者」に仕立て上げようとしたのである。
「絶対的権力は絶対的に腐敗する」という真理は、ここでも証明された。颯爽と見えを切る安倍晋三の懐はすでに強烈な腐臭を放っているのだ。

しかし、ここへきて、籠池と言う人物の狂気とでたらめが次々と露呈して、安倍晋三は尻尾を巻いて逃げようとしている。まともな人間でないことに、安倍もようやく気が付いたのだ。

しかし、籠池を生んだのは安倍晋三である。
安倍晋三も、自らの信ずるところを実現するために、民主主義のまだるっこしい手続きを排除し、うるさい言論に圧力をかけてきた。
安倍晋三がバラク・オバマやアンゲラ・メルケルなどの民主主義に立脚する正統派の政治家と相性が悪く、ウラディミール・プーチンや、ロドリゴ・ドゥテルテ、ドナルド・トランプなどの新手の政治家と相性が良いのは、同じような政治手腕、思想信条をもっているからだ。

安倍晋三政権になってから、産経新聞は「民主主義や人権などのきれいごと」という言葉を使い始めたが、これがこの政権の本音だ。
「自らの信ずるところを実現するためには、ルールを破壊し、言論を封じてもかまわない」
洗練されてはいるが、安倍晋三は籠池と同じ思考回路で動いているのだ。

7年の間に国民の意識も随分変わった。このスキャンダルが起きても、安倍政権の支持率は大きくは下がらないだろう。
「安倍晋三が政権から降りたら株価が下がる」「景気が悪くなる」。
民主主義や人権や、言論の自由より、目先の「経済」「金儲け」を重視する風潮は、中高年世代を中心にしみわたっている。トランプに投票したのと同質の愚かさが、国に蔓延している。
長期政権が続くうちに、国民も腐敗しつつあるのだ。

籠池は最近、「はめられた」「仕組まれた」と言い出したようだ。
彼はそれを「左翼、朝日新聞の陰謀」と言っているようだが、そうでないことはわかり始めているのではないか。トカゲのしっぽ切をしたのは、彼を弊履のごとく捨てようとしているのは、安倍晋三だ。
国会の場で、参考人招致、あるいは証人喚問の場で、知っていることを洗いざらいぶちまけてほしい。
それが、籠池に最後に残された「お国への奉仕」になると思う。



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