バイトテロが濁流のように噴き出している。コンビニやファミレスなどで、アルバイトが商品価値や店舗イメージを大きく損なう愚行をして、それをSNSで拡散するというものだ。

これを見て驚くのは、まずアルバイトが従事している仕事の重さだ。
「くら寿司」では、アルバイトが包丁で魚をさばき、切り身にしているのだ。それ以外の飲食店でも、厨房でアルバイトが料理を作っている。
本来ならば専門的な技術や知識を身につけてから従事すべき「調理」でさえも、安い時給で働き、保障もほとんどない、アルバイトが従事している。

だからこんなに安く料理が提供できるのだ、ということに思い至るのだが、結局、バイトテロの肝はこの部分にあるのだろう。

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アルバイトは本来、責任の軽い単純作業を担当するものだ。作業が楽な分、報酬は安い。そして店や組織へのロイヤリティも軽い。
しかしながら、企業のコストダウン圧によって、本来、正社員が行うべき仕事もアルバイトが担っている。徹底的なマニュアル化で「業務」そのものは、バイトでもできるようになっている。
しかし、品質管理や、店の信用維持など本来、正社員でしか担うことができない責任が絡む職務でさえもバイトや非正規雇用社員が担わされている。
チェーン店の中には、正社員は店長一人とか、数店舗を束ねるスーパーバイザーだけ、というところもある。フランチャイズでは、正社員は店主とその家族だけだ。あとはバイトだ。

そういう店舗では、本部の正社員が教育を担う。アルバイトに正社員のような仕事をやらせ、責任を押し付けるために研修をする。アルバイトには「将来」と言う言葉がない。昇格もなければ、生活の保障もない。そして職業人としてのプライドも責任もない。そんな彼らに、教育担当の正社員は、店やチェーンの信用、信頼まで担わせようとしているのだ。

アルバイトは正社員に日常的に接しているだろうが、正社員との距離感は大きい。
正社員にしても、アルバイトには一定の距離を置く。信頼関係を結んでも、それは一時的なものに過ぎないからだ。
信頼はしていないが責任を押し付ける会社側と、責任を引き受ける気持ちは毛頭ないが、報酬を得るために、言うことを聞いているふりをするアルバイト、こういう図式だ。

昔のアルバイトやパートは、店舗の責任のほんの一部を担っていた。長期雇用する例も多く、アルバイトでもプライドを有し、店にロイヤリティを抱くものもたくさんいた。現にそういう企業もあるにはある。
しかし、飲食店などのチェーン店は、ドミナント戦略と徹底的なコストダウンで、シェアを奪い、利潤を上げることだけを考えている。アルバイトはその「道具」にすぎない。

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アルバイト達は日常的に「かりそめの責任」を担いつつ、不満をため込んでいる。それが、バイトテロという形で噴出するのだ。
プロテストの形としては誠に稚拙だ。そういうことをすれば我が身に降りかかるだけでなく、莫大な損害賠償を請求される可能性もある。そのことがわからないバイトは愚かとしか言えない。

しかし、バイトテロは企業が厳罰化をしてもなくならないだろう。この一見大したことのない犯罪が、日本の産業界の構造的な問題に根差しているからだ。それは「階層化する」日本のひずみそのものだ。

今は、馬鹿なバイトがそんなことをすればどうなるかもわからずバイトテロを行っているが、この先には確信犯的に、店舗や企業の信用を毀損する行為を行う連中が出てくるだろう。
中にはそういう例も出てきているかもしれない。こうした仕事に従事している多くの外国人もこれに参加するかもしれない。彼らも下層にしずんでいるからだ。
こうなれば本当のテロリズムだ。今の「階層化」が進めば、あらゆる局面で「内部からのテロ」が起こる可能性が高まるだろう。


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