「高検検事長定年延長問題」はまだ少しくすぶっているが、「桜を見る会」は新型コロナウィルスの大波によって、完全に火が消された感がある。
ついこの間まで、多くの人が「いつまで“桜”をやってるんだ、もっと大事なことがあるだろう」と言っていた。全く同感だ。しかし、その責任は野党にはない。与党というより安倍晋三首相のケツの穴の小ささにつきる。

この問題は、長期政権の「気の緩み」に尽きる。何でも許されるという驕りがまねいた公私混同だ。しかし、たかが数千万円の問題であり、政権を揺るがすようなものではない。この点、教育行政や司法の独立をゆるがした「森友加計問題」や「高検検事長定年延長」とは次元が違う。

首相はすべての事実関係を明らかにして、「私の驕りがあった、ごめんなさい」と謝罪すれば済んだ話だ。
一時的に支持率は下がるかもしれないが、景気さえ維持することができれば「安倍晋三応援団」は、また支持してくれたはずである。

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野党は「与党、政権の政策を批判し、その存立を危うくする」のが仕事である。端的に言えば「何でも反対する」ために存在する。彼らがどんどん追及するのは、民主主義国家では当たり前のことだ。これを批判する人は、民主主義が理解できていない。
ただ、野党の追及はあまりにも稚拙で、追及すればするほど自分たちの無能をさらけ出したのはみっともなかったが。

森友事件以来の安倍政権の対応を見ていると、物事に対するマネジメント能力がどんどん落ちていることを痛感する。ものごとに適切に対処することをせず、「急場をしのぐこと」に汲々となっている。政権末期の症状ではあろうが、右だ左だではなく「こんな政権に任せておいていいのか」と不安が募った。

その矢先に「新型コロナ」である。安倍政権はとにかく「政権批判の声が上がること」を恐れて、糊塗策に終始している。PCR検査を大々的に行わないのは、それによってウィルス感染者が大幅に増えて「韓国より感染者、死者が多くなる」ことを恐れたからだろう。
批判の高まりとともに、さすがにPCR検査を徹底しようとし始めたが、国家から地方まで、官僚、公務員が保身に走って動かない。
内閣府の創設以来、安倍政権は官僚の手足を縛り、意のままに動かそうとしてきたが、そのために能吏も専門家も指示待ちをするようになった。そしてひたすら「責任回避」をするようになった。
おそらく日本社会は今後さらに混乱するだろうが、これはパンデミックならぬアベデミックだといえよう。気が付けば周囲に仕事ができる人がいなくなっているのだ。
安倍晋三は東日本大震災時の民主党政権をもう嗤えない。

しかしそれだけなら、安倍政権の支持率はそれほど下がらない。40%くらいが底だろう。安倍政権は馬鹿な極右やネトウヨが大騒ぎして支持しているが、岩盤の支持層は大企業と高齢の富裕層だ。優遇税制と株価吊り上げで、この層に利益をもたらしているからだ。今時の大企業も老人も「目先の利益」に走る。貧困や格差の問題には無関心だ。彼らはモノこそ言わないが、安倍政権をしっかり支えている。この点はトランプ政権と全く同じだ。

しかし株価が下落し始めた。これが一時的なものなら問題はないが、安倍政権が新型コロナウィルスの対応を誤り、アベデミックが進行すれば、円高株安が長期化する。そうなれば、支持率は岩盤を割って下がり続けるだろう。
「株価連動内閣」の宿命ではあるが、そうなれば日本社会は「後継者」がないままに空位の時代を迎えることになる。

野党はいつまでも頭の悪い政権批判をするのではなく、ここはいったん矛を収めて新型コロナ対策のために「救国戦線」を作ることを与党に呼び掛けてはどうだろうか。
「桜」も「高検」も、事態終息後に必ず再開することとして、いったん凍結し、国会挙げて「新型コロナ」対策にまい進する。
これを野党の方から呼びかければ、これまでになく国民の支持を得ることができると思うが。


榎本喜八 安打あれこれ

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