hibikore

すいません、今日は「日々是口実」をもうひとつ。
 

NHKは必死になって「今」に追いつこうとしている。夜中零時からやっている「NEWS WEB 24」もそうだ。まるでフリーターの兄ちゃんか。秋葉原のオタクのような今どきの学識経験者(ナビゲーター)と、あどけない話しぶりの橋本奈穂子アナウンサーが、リアルタイムのニュースを取り上げる。



一昨日は高校の飛び入学の問題が取り上げられていた。
 

以前から高校2年からの大学受験は可能だったが、そういう形で大学を受験した生徒が受験に失敗すると「高校中退」の扱いになってしまっていた。これが、今回の文部科学省の改正で「卒業資格」が与えられるようになったのだ。
 

制度の目的を考えるならば、当たり前の措置だ。これまでの制度は、馬に鞭をくれながら手綱を引き締めるようなもので、理不尽でさえあった。


このテーマのゲストコメンテーターとして、千葉大学大学院の上野信雄と言う教授が呼ばれていた。
恐らくは関西出身と思われる上野先生は、今風の速いテンポのやりとりについていけない。アナウンサーやナビゲーターの質問に対して「それはどういう意味ですか」という問いかけを繰り返していた。


この番組はtwitterのコメントがニコニコ動画のようにオンタイムで流れるのだが、上野先生の対応の鈍さを嘲笑するようなものがいくつか見られた。


しかし、私はこの先生の素朴で訥々とした応対に、久々に学究者の誠実さを見て、信頼感を抱いた。諸事スピード優先。素早いレスポンスこそが身上とされがちな昨今だが、あらゆる問題が即答できるわけではない。


子供の教育のような重要な問題は、打てば響くような対応ではなく、愚直に見えてもじっくりと考える、それこそが大人の誠実さというものだ。


上野先生は、もともと電子工学の専門家だ。それが、専門外の教育行政を委ねられた。先生は科学者の厳密さを、教育を考える上でもそのまま適用したのだろう。
 

先生の表情は、古池の老亀を思わせたが、時代がいかに動こうとも、一点一角をゆるがせにはしないぞと言う気迫が見て取れた。こういう一見時代遅れの先生が、今は大事なのだと思う。本来、学者の良識とは、こういうものだ。とっつきにくい固さ、重たさを持っているが、妥協を許さず本質を解明しよう、最善手を選ぼうと言う骨太の誠実さをもっている。


私は、橋下徹大阪市長の政治姿勢は基本的に応援したいと思っているが、教育、文化行政については大いに疑問を抱いている。マーケティング的な視点だけでこうした問題を考えることは、あとあと大きな禍根を残す可能性がある。


一度、上野先生と橋下市長を対決させてみたい。橋下氏の鋭い舌鋒に対して、「それはどういう意味ですか」と問い返して、橋下氏を絶句させてほしいと思う。

 

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